目次>◆藪の中--1921

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藪の中--芥川龍之介

舞台は平安時代。藪の中で起こったある殺人事件の関係者が証言、告白するという構成になっている。

男の死体の第一発見者、「木樵(きこり)の証言」

死骸には胸に刺し傷はあったものの凶器は見当たらなかった。遺留品は縄と女物の櫛だけであった。 と。

その後、殺人が起こる前日に男と馬に乗った女に会った。「旅法師」、

男の衣服を着て太刀と弓矢を持ち馬に乗った盗人「多襄丸(たじょうまる)」を捕らえた「放免(ほうめん)」。

続いて、「被害者の妻の母親媼の証言」

死体の男の名は若狭国国府の侍で、金沢武弘(かなざわのたけひろ)。

女はその妻の真砂(まさご)で、自分の娘でもある。女は未だ行方知れずである。

などと、語った。

ここで、いよいよ当事者3人の証言となる。

「多襄丸の白状」

男を殺したのは私である。

自分は、昨日あの夫婦を見かけ、その女に惹かれ、男は殺しても、奪ってやろうと、決心した。

夫婦を山中へ連れ込み、油断した男を木に縛りつけ男目の前で女を犯した。

最初は男を殺すつもりはなかったが、女がすがりついてきて、2人の男に恥を見せるのは忍びない、

生き残った男の妻になりたいと言う。

男の縄を解いて、太刀で勝負する事にした。争った末、男を刺し殺した。

気がつくといつの間にか女の姿は消えていた。

「清水寺に来(きた)れる女の懺悔(ざんげ)」

わたしは手ごめにされた後、思わず夫の側へ、転(ころ)ぶように走り寄りました。

夫は、その刹那(せつな)の眼に、怒りでもなければ悲しみでもない、

ただわたしを蔑(さげす)みの底に、憎しみの色を見せているのです。

「あなた。もうこうなった上は、あなたと御一しょには居られません。わたしは一思いに死ぬ覚悟です。

しかし、――しかしあなたもお死になすって下さい。あなたはわたしの恥(はじ)を御覧になりました。

わたしはこのままあなた一人、お残し申す訳には参りません。」

「ではお命を頂かせて下さい。わたしもすぐにお供します。」

そして、夫の胸へ、ずぶりと小刀(さすが)を刺し通しました。

その後、私は、小刀(さすが)を喉(のど)に突き立てたり、山の裾の池へ身を投げたり、

いろいろな事もして見ましたが、死に切れずにこうしているのです。

「巫女(みこ)の口を借りたる死霊の物語」

盗人(ぬすびと)は妻を手ごめにすると、いろいろ妻を慰め出した。

妻はうっとりと顔を擡(もた)げた。おれはまだあの時ほど、美しい妻を見た事がない。

「あの人を殺して下さい。」妻はそう叫びながら、盗人の腕に縋(すが)っている。

盗人は静かに両腕を組むと、おれの姿へ眼をやった。

「あの女はどうするつもりだ? 殺すか、それとも助けてやるか?」おれはこの言葉だけでも、

盗人の罪は赦(ゆる)してやりたい。と思った。

妻はおれがためらう内に、何か一声(ひとこえ)叫ぶが早いか、たちまち藪の奥へ走り出した。

盗人も藪の外へ、姿を隠してしまった。

藪の中に一人残された私は世を儚んで、妻が落とした小刀を使い自刃した。

と・・・真相は、「藪の中」というわけだ。

 
 
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